化学物質は、我々の社会・暮らしに不可欠なものである一方、適切に取り扱わないと、人の健康や環境に悪影響をおよぼします。このような観点から、「化学物質が、人の健康と環境にもたらす著しい悪影響を最小化する方法で使用・生産されることを2020年までに達成する。」との首脳レベルでの長期的な化学物質管理に関する国際合意(WSSD目標)が2002年になされ、2006年には、これを具体化するための行動指針(SAILM)が取りまとめられています。この国際的な動きに対応して、欧州においては、新たに制定された「化学物質の登録・評価・認可および制限に関する規則(REACH)」が2007年6月より段階的に施行され、我国においても抜本改正された「化学物質の審査および製造等の規制に関する法律(化審法)」が2011年4月に完全施行されました。
当社では2006年のEUでのRoHS指令の施行を受けて、同年10月に資材グリーン調達基準を策定し、以来、その基準に従って頂くようお取引先に協力をお願いしてきたところでありますが、このような国際合意に基づく状況の変化に対応すべく調達基準を見直し、この度、別添のようグリーン調達基準を改定しています。
この調達基準は、国際合意を実行する活動の近年の強化を踏まえ、法令遵守重視の観点から見直しており、次のよう運用する方針であって、協力会社等のお取引先様におかれましては、本調達基準をご理解頂き、ご協力を賜りますようお願いします。
なお、具体的な調査はV5を使用せず、JGP 4.2 及びRoHS適合宣言書、REACH調査票で実施しています。
チノーグリーン調達基準では、調剤等を含む調達製品・部品・部材・機材・消耗品等に含有する化学物質を、禁止物質、管理物質、監視物質、およびその他の物質に分類し、その他を除く3分類の物質については、次のようにチノーグリーン調達基準グリーン調達に取組んでいます。
2006年制定の「資材グリーン調達基準」では、JGPSSIツールVer.2、Ver.3で「レベルA」に分類された物質を禁止物質としました。JGPSSIツールVer.4では「レベルA」の分類は廃止されていますが、本グリーン調達基準では、従来の分類方法を踏襲して禁止物質としています。この分類の物質では、RoHS規制の6物質群を除く他の禁止物質については意図的含有の禁止を基本として、この改定版では適法性を担保した運用を容認するように改正しています。 JIG Ed2、Ed3およびJGP V4では、他にも色々な改正がなされ、チノーグリーン調達基準でもHBCDD、酸化ベリリウム、フッ素系温室効果ガスを禁止物質に追加する改正を行っています。
製造・使用・輸出入が禁止または厳しく制限されている化審法第1種特定化学物質・第2種特定化学物質については、国産の部材では含有情報の提示がない状態で合法的に添加される可能性はなく、そのような状況であっても、法定事項の一部のみに限定した法令対応の措置は不合理との観点から、今回の改定では、化審法特定化学物質については政令指定化学物質のすべてを禁止物質にするよう改正しました。これらの物質については、チノーグリーン調達基準の[別記参考]での説明のように、輸入部材であっても添加の可能性は極めて低いとみなせます。
2013年1月にEU改正RoHSが施行されてCEマーク表示制度の適用がスタートし、規制対象から除かれてきた当社製品ジャンルのカテゴリー9「監視及び制御機器」に対しても、2014年7月(当社の工業製品は2017年7月)からはこのニューアプローチの制度が適用になります。 この制度では、2012年9月発行のEN50581規格「有害物質制限に関する電気電子製品の評価のための技術文書」によって、物質情報収集は、
のいずれかであることが要求されていますが、当社ではサプライヤ情報に基づくベンダ-情報も有効とした取扱いを行っています。また、JGP回答等は規格要求Declarationに該当しないとの認識ですが、当社のグリ-ン調達基準を満たす情報として従来回答等を活用していきます。
チノーグリーン調達基準による分類では、調達基準の表2に示す次のいずれかに該当する物質を管理物質とします。
2013年度の取組みでは、これまで取組んできた仕分け方を見直し、フロー図のようにREACH規則33条への対応を主体とするよう修正していて、その仕分け結果は下記の状況でした。
REACHでは2014年8月から認可制度がスタートし、当社製品では塩化ビニールに含まれる可塑剤DEHP等が 2015年2月から規制対象になり、今後は通常使用では認可物資の大半がEU域内では実質使用禁止になると危惧していますが、EU域外(日本を含む)では通常のSVHCと同様の扱いで良いとの意見もあり、国内業界の動向を参考に対応していく方針です。
仕分 | 仕分内容 |
---|---|
禁止物質 | (R):調達基準による禁止物質(フロー図外措置) |
SVHC 含有情報伝達不要 |
(a):用途・規制情報等の情報→使用可能性無し |
(b):使用実態・部材等の情報→使用の可能性無し | |
(c):サプライチェーン情報→0.1%未満 | |
伝達等の対応要 | (E):サプライチェーン情報→0.1%以上 |
(F):サプライチェーン情報→含有不明等 | |
使用制限 | (G):認可制度に配慮した使用制限物質として管理する物質(フロー図外措置) |
[備考]2014年11月11日現在仕分ずみ第11次SVHCまでのCandidate List掲載物質総数は155(2014年度追加数5)です。
表の仕分内訳数にはorによる重複判定を含んでいます。表記載の内訳数は、2013年度実施した仕分項目の修正等によって一部変更になっています。
この仕分処理では、含有物質情報のサプライチェーンに対する調査対象を極力絞って、調査をお願いする川上事業者の負担を軽減すべく計画しています。川上事業者様におかれましては、その点をご理解頂き、調査にご協力下さいますようお願いします。
ここで、仕分表の(G)は再調査、調査先・設計変更等の運用処置によって、(a)~(c)または(E)のいずれかになるように管理する化学物質であることを意味します。
2014年11月現在Candidate List掲載SVHCでは、3種類のフタル酸エステルDBP、BBP、DIBPを使用制限物質に決定して運用していますが、この3種類の可塑剤は導線被覆用塩化ビニールには通常は使われていません。
一方DEHPはまだ多数のケーブル被覆に使用されており、注意を要します。
製造工程で扱う部材・機材、使用する化学物質には、チノーグリーン調達基準の表3に示す法規制の対象となっている物質が多数あります。 チノーでは、これらの物質を監視物質と呼び、一般に広く使われている家庭用品等の免除用途のものを除く他の物質についてはすべて届出または登録制若しくは許可制として、「法規制順守監視プログラム」の下で計画的に監視して、法定要求の確実な遵守に努めています。 協力会社様等には、このような法規制を確実に遵守する措置を従来からお願いしており、これまで別途要求していた法規制遵守の取組みを本調達基準は要求事項に含めており、適切に対処頂くようお願いします。
チノーでは、「チノーグリーン調達基準」の様式1で、社内関係部署のグリーン調達の取組みの状況等をISO14001要求等に照らして調査し、評価していて、それに基づき必要な指導等を実施しています。
グリーン調達の適切な実施には、協力会社様等におかれましても、チノーと同じような認識・理解の下で体制を整備して取組んで頂くことが必要と考えます。つきましては、チノー調達部材に関し、同様な調査を拡大する方針であって、ご協力の程をお願いします。
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