調節計ガイドライン

工業プロセスにおいて温度、圧力、流量などのプロセス量をある所定の値に維持することを「制御する(調節する)」といい、この状態を自動的かつ連続的に維持するシステムを自動制御系と呼びます。

フィードバック制御

制御の目的は目標値に測定値を一致させることで、自動制御では検出部(温度センサなど)・調節部(調節計)・操作部(電磁開閉器など)を組み合わせて制御を自動的に行います。この動きをブロック図で描くと下記のようになります。

制御対象に操作を加えた結果を再び調節部に戻し、目標値に設定値を一致させる動作を繰り返し行うループを作っています。
このようなループをフィードバックループといい、フィードバックループによる制御をフィードバック制御といいます。フィードバック制御は、制御の基本ともいえるもので多くの制御に使用されています。

基本的なフィードバック制御の構成例である電気炉の温度制御ループは以下のようです。

オンオフ動作

調節計からの信号で操作端のスイッチをオンオフする(入り切りする)ことによりヒータへ断続的に電気を流すことによって温度を制御します。このような制御をオンオフ制御といいます。
電源のオンオフによる温度制御では応答の遅れにより目標値近辺で温度が振動することがあります。このような周期的な変化をサイクリングといいます。

比例動作(P動作)

オンオフ制御ではフィードバックループの応答遅れにより制御結果がサイクリングしました。そこで、サイクリングのない安定した制御ができるよう目標値の手前から操作量を調整しながら目標値に近づける方法で、制御偏差に比例した操作量を出力する制御方式です。操作量を0~100%変化させるのに必要な制御量変化幅を比例帯(%)といいます。
一般的には、制御偏差0の時、操作出力50%に調整されています。
制御偏差が一定でも比例帯の大きさによって操作出力が異なり比例帯が小さいほど出力変化は大きく、比例帯が0%の時に2位置式動作と等しくなります。

PID制御

比例動作は制御偏差と操作出力が一義的に設定されるので一般的には設定温度と平衡温度が一致せず偏差が生じます。この偏差をオフセットといいます。同一プロセスでは比例帯が小さいほどオフセットも小さくなります。
  • 積分動作(I動作)
    積分動作は単独では使われず、比例動作で避けられないオフセットを消すために比例動作と組み合わせて利用されます。
    積分動作は制御偏差がある限り操作出力を増加(または減少)させ続けます。
    積分時間(TI)は一定の制御偏差が発生し、継続しているとき、比例動作により変化した出力と同じ量を積分動作によって変化するのに必要な時間をいいます。
  • 微分動作(D動作)
    微分動作は予測動作とも呼ばれ、制御量の変化速度(微分値)によって操作出力が決まり、比例動作と組み合わせて用いられ、外乱など測定値が変化するときその変化を予測してその変化を抑えるように出力を増加(または減少)させます。
    微分時間(TD)は、傾斜状の偏差に対し微分動作によって変化した出力と同じ量を比例動作によって変化するのに要する時間をいいます。
  • PID制御
    比例動作・積分動作・微分動作を組み合わせたPID動作の出力は、各動作出力の和となります。

PID調節計制御出力の説明

PID調節計は、接続する操作端の種類によって出力形態を4種類用意しています。
  • オンオフパルス形調節計(時間比例)
  • SSR駆動パルス形調節計
    時間比例は、トライアック、電磁開閉器(リレー)、電磁弁などオンオフ形の操作端を駆動すためのもので、演算出力が一定周期内のTon/Toff比と比例するように変換したものです。
    SSR駆動パルス形調節計は、出力信号がパルス電圧信号(12V、24V DC)になります。出力信号以外はオンオフパルス形調節計と同様になります。
  • オンオフサーボ形調節計
    オンオフサーボ形は、コントロールモータ、電動弁などの操作端を駆動すもので、演算出力と比例した操作端位置をとるように正転・逆転するモータ端子と位置検出用フィードバック抵抗端子を備えています。
  • 電流出力形調節計
    電流出力形は、サイリスタレギュレータ、ダイヤフラム弁などの操作端を駆動するためのもので、連続出力形とも呼ばれ標準的なものです。

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