ナレッジ記事:湿度について

1. 湿度ってそもそも何?

湿度とは、空気の中に含まれている水の量のことです。空気の中には目に見えない水の粒が浮いているんです。

湿度が高いと、空気中の水の量が多いことを意味します。逆に湿度が低いと、空気の中の水の量が少ないことになります。

湿度を感じるポイント

湿度の高さは、実際に肌で感じることができます。

  • 湿度が高い時は、空気がべたべたして汗が乾きにくい
  • 湿度が低い時は、空気が乾いて喉や肌が乾燥しがち

適した湿度は?

人間が快適に過ごせる湿度は40%から60%くらいが適切だと言われています。

  • 40%より低いと空気が乾きすぎて喉が渇いたり、肌がカサカサになりがち
  • 60%より高いと空気が湿りすぎてカビが生えやすくなる

だから、家の中の湿度を測って、加湿器や除湿機を使って適切な湿度を保つことが大切なのです。

2. 湿度を測る方法は?

湿度を測る方法には主に以下の2つがあります。

  1. 乾湿球温度計(乾湿計)を使う方法
    • 乾球温度計と湿球温度計(湿らせた布を巻いた温度計)の示度の差から湿度を求める
    • 空気が乾燥していると湿球の水が蒸発して温度が下がる原理を利用
    • 乾球と湿球の温度差を湿度表と照らし合わせて相対湿度を読み取る
  2. 温湿度計を使う方法
    • バイメタルや髪の毛などの湿度センサーを搭載した専用の計測器を使う
    • デジタル式とアナログ式の2種類があり、デジタル式なら数値で正確な湿度が分かる
    • 設置場所は風の流れがなく直射日光が当たらない場所が適している
    • 乾湿球温度計は手軽に湿度が測れる一方、温湿度計のほうが測定が簡単で正確です。

3. 湿度を計測する目的

快適な生活環境を保つため

適切な湿度は人間の健康と快適性に大きく影響します。

  • 湿度が高すぎると蒸れてベタつき、低すぎると乾燥して喉や肌が痛む
  • 一般に人間が快適と感じる湿度は40~60%程度とされている
  • 家庭で湿度計を使い、加湿器や除湿機で湿度を調整することで快適な室内環境を保つ

物品の保存状態を管理するため

湿度は物品の劣化や変質に影響を与えるため、適切な湿度管理が重要です。

  • 美術館や博物館では、絵画や古文書の劣化を防ぐため湿度管理が行われる
  • 食品や医薬品の保存では、湿度が高すぎると変質やカビの発生が起こりやすい
  • 倉庫や工場などでも、製品の品質保持のために湿度管理が行われる

作業環境を適切に保つため

一部の作業現場では、湿度が作業効率や製品品質に影響するため管理が必要です。

  • 印刷工場では、紙の湿度が印刷品質に影響するので管理される
  • 電子部品の製造現場では、静電気対策として湿度管理が行われる
  • 倉庫や工場などでも、製品の品質保持のために湿度管理が行われる

このように、湿度計測は快適な生活環境の維持や物品の適切な保存、作業環境の管理など、様々な場面で重要な役割を果たしています。

4. 湿度計の種類と選び方

湿度計を選ぶ際の主なポイントは以下の通りです。

  1. 用途と設置場所
    • 家庭用なら見やすさや付加機能(時計/アラーム/バックライト等)が便利
    • 業務用なら高精度で、幅広い温湿度範囲に対応したものが適する
  2. 精度
    • 一般家庭用なら±5%程度の誤差が許容範囲
    • 特に精度が求められる場合は±2%以内が望ましい
  3. 設置方法
    • スタンド式、壁掛け式、マグネット式など設置方法に対応したものを選ぶ
    • 風の当たらない場所や直射日光が当たらない場所に設置する
  4. 連携機能
    • スマホアプリと連携できれば遠隔監視が可能
    • 異常時の通知機能があれば危険を事前に回避できる

このように、用途や設置場所、求める精度などを考慮して、適切な湿度計を選ぶことが重要です。

5. 自分で湿度計を作ってみる

湿度計は比較的簡単に自作できます。

  • 抵抗式湿度センサーを利用する方法
  • 塩化リチウム電解質を使った方法
  • 髪の毛を使った方法

センサーの値をマイコンで読み取り、プログラムで湿度に変換する仕組みです。

6. 湿度と体感温度

同じ気温でも湿度が高いと体感温度が上がり、不快に感じやすくなります。湿度が低いと体感温度は下がり、快適に感じられます。

  • 湿度が20%上がると、体感温度は約1°C上がる。
  • 気温30°C、湿度80%の場合の体感温度は約33°Cと感じられる。
  • 気温30°C、湿度30%の場合の体感温度は約25°Cと感じられる。

7. 湿度とカビ

高湿度環境ではカビが発生しやすくなります。

  • カビの発生には60%以上の高い湿度が必要とされる。
  • 結露によって壁や家具に水分が溜まると、カビが繁殖しやすくなる。

8. 湿度と風邪

湿度自体は風邪の原因ではありませんが、次のような影響があります。

  • 低湿度で鼻や喉の粘膜が乾燥し、ウイルスが侵入しやすくなる。
  • 極端な低湿度、高湿度でウイルスや細菌が繁殖しやすくなる。

9. 湿度と静電気

低湿度環境では静電気が発生しやすくなります。

  • 人体や物体が乾燥して静電気が起こりやすくなる。
  • 静電気放電による機器の誤作動や故障が起こる可能性がある。

10. 湿度と楽器

楽器の種類によって最適な湿度範囲が異なります。

  • 木製楽器は50~60%程度が適している。
  • 金属楽器は40~50%程度が適している。
  • 湿度が高すぎると楽器がカビやサビで傷む恐れがある。

11. 湿度と植物

植物の生育には適切な湿度環境が重要です。

  • 高湿度だと病気や害虫が発生しやすくなる。
  • 低湿度だと蒸散作用が活発になり、植物が乾燥しやすくなる。
  • 一般的に植物の生育に適した湿度は50~70%程度とされる。
  • 植物の種類によって最適な湿度範囲は異なる。

12. 湿度と食品

食品の品質保持には適切な湿度管理が不可欠です。

  • 高湿度だとカビや細菌が繁殖しやすくなる。
  • 低湿度だと食品が乾燥して品質が低下する。
  • 一般的に食品の保存に適した湿度は60~70%程度とされる。

13. 湿度と医薬品

医薬品の品質維持にも湿度管理が重要です。

  • 高湿度だと薬品が変質したり、カビが発生する恐れがある。
  • 低湿度だと錠剤が軟化したり、カプセルが破損する可能性がある。
  • 医薬品の保存に適した湿度範囲は一般に20~60%とされる。

14. 湿度と電子機器

電子機器の故障防止のため、湿度管理が不可欠です。

  • 高湿度だと部品にカビが生えたり、短絡や腐食が起こりやすい。
  • 低湿度だと静電気の発生により、部品が破損する恐れがある。
  • 一般的に電子機器に適した湿度範囲は30~60%程度とされる。

15. 湿度と精密機械

精密機械の性能維持にも湿度管理が重要です。

  • 高湿度だと機械部品がサビたり、絶縁不良が起こりやすい。
  • 低湿度だと静電気の発生により、精密部品が損傷する恐れがある。
  • 精密機械に適した湿度範囲は一般に40~60%程度とされる。

16. 湿度と気圧

湿度と気圧には以下の関係があります。

  • 気圧が高いほど、空気中に含まれる水蒸気量(絶対湿度)は多くなる。
  • しかし相対湿度は気圧によらず一定である。
  • 例えば標高が高い山岳地域では気圧が低いため、絶対湿度は低くなる。

17. 湿度と露点

露点温度とは、空気中の水蒸気が飽和して結露を起こし始める温度のことです。

  • 湿度が高いほど露点温度は高くなる。
  • 室内の温度が露点温度以下になると、結露が発生する。
  • 結露を防ぐには、適切な除湿や加湿が必要である。

18. 湿度と熱中症

高温多湿の環境は熱中症のリスクが高まります。

  • 湿度が高いと汗の蒸発が抑えられ、体温が上がりやすくなる。
  • 日本生気象学会は熱中症予防の目安として、湿球黒球温度(WBGT)を提唱している。
  • WBGTが31°C以上の環境下では、熱中症に注意が必要とされる。

19. 湿度と省エネ

適切な湿度管理は省エネにも役立ちます。

  • 夏場は除湿して湿度を下げると、より低い設定温度で快適になる。
  • 冬場は加湿して湿度を上げると、より高い設定温度で暖かく感じられる。
  • このように湿度調整により、エアコンの設定温度を省エネ運転側に近づけられる。

20. 湿度とIoT

IoTの発達により、湿度管理がより高度化しています。

  • センサーでリアルタイムに湿度を計測し、データを収集・解析できる。
  • AIを活用して最適な湿度制御が可能になる。
  • スマートホームやビル管理システムなどでIoT湿度管理が行われている。

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