バイオマス発電所の火災リスクと最新監視技術

バイオマス発電所の安全対策と監視システム提案
loop appli banner 5
記事更新日:2025.3.13

イントロダクション

みなさん、クリーンエネルギーの切り札として注目されているバイオマス発電。しかし、実は大きな火のリスクが潜んでいるのをご存知でしょうか?

日本国内でバイオマス発電所の数は増加傾向にあり、再生可能エネルギーへの期待も高まっています。一方で、木質バイオマス燃料には目に見えにくいリスクが存在します。

この課題について、専門家の議論が活発化する中、経済産業省は2024年2月1日に画期的な通達を発表。その名は「バイオマス発電所における安全確保の徹底及び事故発生時の報告のお願いにつて」です。

ここでは、発電所の火災リスク実態と、リスク低減に向けた革新的な監視システムを紹介します。

詳細はこちら(経済産業省)

バイオマス発電所における安全確保と事故報告のお願い

この通達は、バイオマス燃料由来の貯蔵・搬送設備における火災・爆発事故が相次いでいる現状を受け、以下の3点の対策を求めています。

1.燃料特性に合わせた安全対策

燃料の品質は生産地によって異なるため、各特性に合わせた適切な安全対策を講じることが必要です。特に過去に事故があった設備には、入念な巡視・点検・清掃を実施します。

2.迅速な事故報告

火災などの事故発生時、たとえ法令上報告対象外でも、管轄の産業保安監督部へ速やかに報告します。これは早期対応と情報共有を促進するためです。

3.情報共有による再発防止

報告後、原因究明と再発防止策を業界団体を通じて共有し、類似事故の防止に努めます。

この通達は、各事業者に安全対策強化と事故情報の迅速な共有を求め、法的義務とともに社会的信頼を維持するためのものです。

バイオマス燃料の発火リスクと事故事例

なぜ発火するのか

木質ペレットや木材チップは、微生物の発酵や酸化、蓄熱の進行などにより、火災リスクを孕んでいます。

発熱メカニズム

  • 内部での発酵・酸化により熱が発生
  • 蓄熱が進むと自然発火の危険性が増大

爆発リスク要因

  • 可燃性ガスの蓄積(例:メタン、一酸化炭素)
  • 木粉塵による粉じん爆発
  • 静電気や摩擦熱が引火源に

実際の事故事例

日本や世界で起きた事故事例を以下にまとめています。

事故番号 発生場所・プラント名 発生年 事故の原因 発生から鎮火までの時間 推定被害額 現在の状況
1 千葉・袖ケ浦バイオマス発電所 2023年 木質ペレットの自然発熱による発火 約4ヶ月(2023年1月1日発生、同年5月1日鎮火確認) 公表されていません 燃料搬出完了、再発防止策実施
2 京都・関西電力舞鶴発電所 2023年 発酵・酸化による発熱と可燃性ガス滞留、自然発火 具体的な鎮火時間は不明 公表されていません 燃料管理方法見直し、監視設備増設
3 鳥取・米子バイオマス発電所 2023年 木質ペレットの自然発酵による可燃性ガス発生・粉塵爆発の可能性 約3時間50分(2023年9月9日9時22分発生、13時15分鎮火) 公表されていません 再発防止策検討中
4 愛知・JERA武豊火力発電所 2024年 木質ペレットの粉じん化、摩擦熱による粉じん爆発 約5時間(2024年1月31日15時11分発生、20時04分鎮火) 公表されていません 再発防止策実施中
5 米国テキサス州の事例 2017年 木質ペレットの自然発熱による火災 具体的な鎮火時間は不明 公表されていません 情報なし
6 山形・山形バイオマスエネルギー発電所 2019年 水素ガスタンクの爆発(逆火防止装置の性能不足) 即時爆発、鎮火時間不明 公表されていません 事故後、設計・施工担当社が破産手続開始

監視システムに求められる機能要件

発火リスクに対応するためには、燃料や設備の状態をリアルタイムで監視し、異常を早期に検知することが重要です。従来の火災報知器では煙や炎を感知後の警報となるため、事前に温度上昇を捉える仕組みが必要です。

連続温度モニタリング

燃料貯蔵庫や搬送設備の温度を24時間体制でリアルタイム監視します。

早期異常検知

煙や炎の前に、異常発熱段階で検知し迅速な初動対応を可能にします。

アラート・通知機能

設定温度超過時に自動警報。現場ブザー、制御室ディスプレイ、メールやSMSで即時通知します。

遠隔・統合監視

複数地点の温度データを一元管理し、遠隔地からの操作も可能。将来的なプラント間集中監視にも対応します。

記録と分析

温度データを蓄積し、傾向分析やレポート作成に活用。予兆保全や点検計画の判断資料とします。

解決策の提案

提案するソリューションは、高性能熱画像カメラを用いた非接触型発熱検知システムです。発電所内の重要ポイントに固定カメラを設置し、専用監視ソフトで統合管理することで、迅速な異常検知と対応を実現します。

熱画像カメラによる監視システムイメージ
高性能熱画像カメラ「CPA-L3」

重要ポイントに高解像度カメラを設置。640×480ピクセル・温度精度±2℃程度のサーモグラフィで、小さな異常も確実に検出します。

熱画像と可視光画像の重ね合わせにより、温度異常と現場状況を同時把握が可能です。

CPA-L3についてはこちら
統合監視ソフトウェア「CISAS」

各種センサや計測機器からのデータを一元管理。しきい値監視、アラーム通知、遠隔閲覧など、幅広い機能を搭載した統合プラットフォームです。

リアルタイムの温度値とヒートマップ画像で、即時に異常を把握できます。

CISASについてはこちら
複合センサによる二重監視「サイロ測温ケーブル」

熱画像だけでなく、サイロ内部に測温ケーブル式温度センサを設置。内部と外部の両面から異常を検知し、信頼性を向上させます。

サイロ測温ケーブルについてはこちら
柔軟なアラーム設定

「注意」「警告」「緊急」といった段階別の設定が可能。警報発生時には当時の熱画像を自動保存し、後日の解析に活用できます。

システム構成図

監視システム構成図

温度検知、警報、記録、通知という一連の流れを自動化。熱画像カメラで取得したデータはネットワーク経由で監視PCへ送信され、CISAS上でリアルタイム表示されます。

アラートレベルと対応フロー

アラートレベル 条件例 通知方法 対応例
注意 燃料表面温度が50℃超 担当者PCにポップアップ表示 監視強化、状況確認
警告 燃料表面温度が70℃超 現場作業員と管理職にメール通知 該当区画の燃料撹拌、冷却
緊急 燃料表面温度が90℃超 全体非常ベル作動、SMS通知 燃料搬出、消防通報

データ活用による予防保全

CISASは温度データをログとして蓄積し、傾向分析やレポート作成が可能。これにより、特定のサイロでの温度上昇傾向を把握し、定期点検や計画停止の判断に役立てます。

また、可視光カメラ映像と連携することで、温度異常時の現場状況も同時記録可能。粉じん爆発などの場合、直前の映像が原因究明に貢献します。

温度管理でお困りのことがございましたら、
お気軽にご相談ください

Membership
チノーWeb会員のご案内

チノーWeb会員にご登録頂きますと、製品の取扱説明書がご覧いただけます。
ご希望によりチノーの商品の最新情報をメールでお送りしています。

ダウンロードには会員ログインが必要です。